【コロナ禍】母とガンとの闘いが幕を開けた

 私の母は2019年9月に肺がんと診断されました。そのときの母は79歳。肺がんと診断される3ヶ月ほど前から「コホンコホン」という咳がなかなか治まらなかったため、2019年8月に呼吸器内科の専門病院に診察に連れて行きました。その病院でXP検査(レントゲン)を行ったところ、担当の医師から「肺がんが疑われます。大きな病院で検査をしたほうがよいでしょう」と言われました。

 母を病院に連れて行った弟(次男)は、その場で医師に「札幌医大に紹介状を」と依頼しました。そして紹介状を持って札幌医大で診てもらい、再度検査を行った結果が前述の「肺がん」との診断でした。

 医師には何度も「タバコは吸っていませんでしたか?」と聞かれましたが、母は若い頃からタバコは吸ったことがありません。強いて言うなら、父がタバコを吸ってはいたのですが、それも35年近く前の話。父が1985年に亡くなってからは家でタバコを吸う人は一人もいませんでしたし、職場でもタバコの影響はなかったとのこと。そのことを医師にもお話ししました。

 原因がなんであれ肺がんであることは間違いないということで治療法についての話になりました。いろいろと選択肢を挙げてくださったのですが、母の年齢や体力等を考えると手術や抗がん剤の投与は「やらない」ということになりました。もちろんそれは母の意思です。

 それは母が、肺がん以外に糖尿病や狭心症、そしてパーキンソンを患っていたこともあります。そこでいろいろ調べた結果(検査含む)、分子標的薬のタグリッソを使えることがわかりました。分子標的薬のタグリッソは一般的な抗がん剤とは違い、自宅で飲み薬のようにして服用する、割と新しい薬ということでした(タグリッソの効果効能についての説明はここでは省略します)。

 ただ、タグリッソを使っても短い人で1年、長い人でも3年ほどしかその効果はないというお話でした。母は、それでも何もしないよりは治療をしたほうが良いという結論に至り、タグリッソを服用することにしました。スタートは80mgからだそうです。当初、2週間の入院をして副作用がないか等を見ながら治療をしていきます。1日1回80mgを服用し、2週間。大きな副作用もなく無事退院しました。そして自宅での治療へ移行しました。

 ところが自宅でのタグリッソ治療を開始して3週間程で副作用が出始めました。副作用のせいなのか吐くようになってきました。担当医師に相談したところ「80mgでの投与では多いのかもしれないです。その場合は40mgに減らしての服用になるのですが、再度の入院が必要になります」との回答でした。

 そこで2019年12月に再度入院することになりました。2度目の入院でもその後もタグリッソ40mgの服用では吐き気等の副作用は出ませんでした。素人の素朴な疑問ですが、その中間の60mgではダメなんだろうかと思って医師にも尋ねてみましたが、タグリッソは80mgか40mgしかないという回答でした。80mgだと多いが40mgだと少ない、そんな効き具合に見えたのですが、それ以外の処方はないとのことでした。

 そのようにして、母のガンとの闘いが幕を開けたのです。