生活保護は、「日本国憲法第25条の「生存権」の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、最低限の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とした法律です。」
憲法25条では次のことが保障されています。
- すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
- 国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
それで、働きたくても働けない事情があり、最低限の生活ができるほどの収入を得ることができない場合に申請することができます。
でも中には「申請したけど審査が通らず却下された」という話を聞いたことがあります。そんなことあるんですか?
では、次に生活保護の申請が通らないどんなケースがあるのか、いくつか実例を挙げてみたいと思います。
気持ちの問題
実際にあるケースです。
ケース1:「もうこれ以上は世話になれない」
扶養義務者に十分な扶養能力があり、かつ扶養の意思があるが「これまでずっと扶養されてきたが、これ以上は扶養してもらうわけにはいかない。とはいえ、自分は病気のために働けないし、貯蓄もない。だから生活保護を受けたいんです」というケース。
ケース2:感情的な対立があるケース
「過去には扶養義務者と交流があったが、最近になって感情的な対立があり、扶養義務者の扶養を受けるくらいなら死んだほうがまし」と言って生活保護の申請をするケース。
ケース3:扶養を受けたらいろいろ説教される。そんなのは嫌だ!というケース
扶養義務者は近所に住んでおり、「直接お金を取りに来れば扶養する」と言っているが、「金をもらいに行けばいろいろ説教されるので絶対に嫌だ!」と言って生活保護を申請するケース。
さて、これら3つのケースにおいては生活保護の認定は下りるのでしょうか。
結論から申し上げますと、なかなか難しいと言わざるを得ません。もちろん個々の状況はそれぞれ異なりますが、基本的には上記のケースでは「親族などの扶養義務者からの扶養を受けられるにも関わらず、感情問題のために扶養してもらいたくない」と考えています。
これらのケースでは、扶養義務者は扶養の意思があるわけですから、本人がそれを拒むことは認められません。したがって福祉事務所が「却下」という判断を下すことが予想されます。
当事務所では、「こんなケースでは生活保護を受けることができるんだろうか」という疑問にお答えしています。状況はそれぞれ異なりますから、正直に状況をお話ししていただく必要がありますが、心配な方はまずはご連絡ください(電話やメールでの回答はしていません。ビデオ通話による面談やじかにお会いしてお話しをお聞きします)。