【東京高裁棄却】外国人が生活保護を受けられない理由とは?

2024年8月、東京高等裁判所はガーナ人男性(シアウ・ジョンソン・クワクさん:34歳)が生活保護の受給を求めた裁判で控訴を棄却しました。この裁判は、日本に長期滞在する外国籍の人々にとって、生活保護が受けられないという現実が法律的にどう位置付けられるのか、注目が集まっていました。

これは男性側が2024年1月の千葉地裁の判決を不服として控訴し、高裁で争われた事案です。参考までにジョンソンさんは千葉市内に住民票がありましたし、正当な在留資格も有していました。しかし、東京高裁は「外国人を生活保護の対象外」とした一審千葉地裁判決を支持し、ジョンソンさんの控訴を棄却しました。

ガーナ国籍のこの男性が直面したこの判決は、外国籍の方々が日本でどのように生きていくかに関する重要なメッセージを投げかけています。この記事は、自分自身の備忘録を兼ねて判例や出来事をまとめたものです。

外国人でも生活保護を受けている人はいるのに?

こちらの記事「在日韓国人・朝鮮人は生活保護を受けることができるのか」でも書きましたが、外国籍を持つ人の中にも日本で生活保護を受けている人がいる一方、今回のガーナ人男性(ジョンソンさん)のように生活保護を受けることができない人もいます。

まず、ジョンソンさんはどのような根拠で生活保護の申請をしたのでしょうか。

報道によりますと、「1954年に旧厚生省が「生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて必要と認める保護を行う」とした通知を踏まえ、生活保護法に規定する国民には、国内に住む外国人も含まれると主張したとのこと。

当該「通知」とは、昭和29年(1954年)5月8日社発第382号厚生省社会局長通知による「当分の間、法による保護等に準ずる取扱いをする」という内容の通知を指しています。

では、その通知によって対象となっている外国人には誰が含まれるのか?

昭和29年(1954年)厚生省の通知で対象となっている外国人には誰が含まれるのか

対象となる外国人は、

  • 適法に日本に滞在
  • 活動に制限を受けない「永住者」「定住者」等の在留資格を有する外国人

となっています。そして具体的な在留資格としては

  1. 「出入国管理及び難民認定法」別表第2の在留資格を有する者(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等及び定住者)
  2. 「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」の特別永住者
  3. 入管法上の認定難民

を指しています。つまり、3の「認定難民」以外はいずれも「永住者・定住者」でなければならないと理解できます。

上記は「生活保護手帳 別冊問答集2023年度版」p466の問13-32「外国人保護の適用対象と実施責任」に記されています。

当事務所で生活保護申請のサポートができるのは?

このように現時点では永住者・定住者ではない外国人の生活保護申請は、大変申し訳ありませんが申請書類の作成・申請同行いずれもお受けしておりません。あらかじめご了承ください。

※永住資格を持つ在日韓国人・朝鮮人の方に関しましては当事務所にて申請サポートが可能です。まずはご相談ください。