生活保護を受給している人は、車を所有することができないのでしょうか。
結論から申し上げますと、絶対に車を持ってはいけないというわけではありません。
ただし、生活保護受給者が車を所有するためにはいくつかの条件があります。この記事ではその条件について説明したいと思いますのでぜひ参考にしてください。
生活保護の受給者が車を所有するための条件
生活保護受給者が車を所有するためにはいくつかの条件があります。
必要不可欠な移動手段であること
まず、その車が日常生活を送る上で必要不可欠でなければなりません。例えば、医療施設や子供の学校など、公共交通機関ではアクセスが難しい場所に通う必要がある場合などです。具体的には次のいずれかに該当する場合が挙げられます。
通勤で使用するケース
自動車による以外に通勤する方法が全くないか、又は通勤することが極めて困難であり、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときは、通勤用自動車の保有を認めてよいことになっています。
- 障害者が自動車により通勤する場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者等が自動車により通勤する場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある勤務先に自動車により通勤する場合
- 深夜勤務等の業務に従事している者が自動車により通勤する場合
なお、上記2,3及び4については、次のいずれにも該当する場合に限られています。
- 世帯状況からみて、自動車による通勤がやむを得ないものであり、かつ、当該勤務が当該世帯の自立の助長に役立っていると認められること。
- 当該地域の自動車の普及率を勘案して、自動車を保有しない低所得世帯の均衡を失しないものであること。
- 自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車と認められるものであること。
- 当該勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回ること。
通院で使用するケース
次のいずれかに該当するケースでも自動車の保有が認められることがあります。
障害者が通勤等のために自動車を必要とする場合であって、次のいずれにも該当する場合
- 障害者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合。
- 当該者の障害の状況により利用し得る公共交通機関が全くないか又は公共交通機関を利用することが著しく困難であって、送迎サービス、扶養義務者による送迎、医療機関等の行う送迎サービス等の活用が困難であり、また、タクシーでの移送に比べ自動車での通院が、地域の実態に照らし、社会通念上妥当であると判断される場合。
- 自動車の処分価値が小さく、又は構造上身体障害者用に改造してあるものであって、通院等に必要最小限のもの(排気量がおおむね2,000cc以下)であること。
等々の条件を満たすものであること。
所有している車の価値が一定範囲内であること
生活保護法では、生活保護受給者が所有できる車の価値に上限が設けられています。この上限を超える車を所有している場合、生活保護の支給を受ける資格が失われる可能性があります。
この点は、上記の「必要不可欠な手段であること」にある「自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車と認められるものであること」
必要経費以外の支出がなるべく抑えられていること
生活保護を受給している場合、その生活状況に合った節約や支出の工夫が求められます。車の所有が支出を圧迫し、生活保護以外の支出を抑えることが困難になっている場合、支給の見直しが行われる可能性があります。
これらの条件がクリアされている場合、生活保護受給者が車を所有していても、その状況下で生活保護を継続することが可能となります。
まとめ
つまり、自動車が通勤や通院でどうしても必要な場合に限って、その所有が認められるということになります。
「必要不可欠」なのかどうかは、地域によっても事情が異なりますから一概には言えませんが、たとえば札幌市の場合のように交通網が発達している地域においては、車を所有するというのはなかなか難しいと言えるでしょう。