損害保険会社で事故の受付をしていた頃のことです。
「事故を起こしました」
との連絡を電話で受けるのですが、契約者の名前や車の登録番号などをお聞きして契約内容を調べてみると、結構な割合で(肌感覚ですが)50~100件に1件、つまり1%から2%は保険期間が切れています。つまり「更新忘れ」ということです。今は一定の期間は更新を忘れてもなんとかなる特約(各保険会社によって名称は異なります)がありますが、何ヶ月も経っているとさすがになんともなりません。
では、その場合はどうなるのでしょうか?
答えは言わずもがな「無保険」です、おそらく。お客様は「保険会社って何でもかんでも出し惜しみして保険金の支払いを渋っている」と考えてしまいがちですが、そうではありません。少なくとも受付の段階では保険金を支払いたくないがために「保険期間が切れていますので・・・」と言っているわけではありません。
むしろ、その車の保険は切れていても「別の車の保険が使えるケースがないか?」等を調べてみようと窓口の受付担当は頭をフル回転しています。例えば、この保険会社では更新手続きがされていないが、「別の保険会社で更新手続きがなされていてそのことを忘れているのではないか?」とか。
場合によっては(意外と多いのですが)、夫が他社で更新しているのに車のダッシュボードに入れてある保険証券(またはドライバーズカード)は以前の会社のままで妻には他社で更新したことを伝え忘れていた、とか。
しかし、いろいろ調べてみてもやはり「無保険」というケースがあります。では、そのときは相手方への賠償はどうなるのでしょうか?
これは相手の何の損害を賠償するのかによって変わってきます。相手の車などの「物」であれば「対物賠償」になるのですが、それは残念ながら保険で払うことはできません。しかし相手のケガ、つまり「対人賠償」であれば自賠責保険から支払うことが可能な場合があります。「場合がある」と書いたのは、自賠責保険から出ない場合もあるからです(自賠責保険で支払うことができないケースについては別の記事で説明します)。
では、その無保険者の運転者や同乗者のケガについてはどうでしょうか? 運転者はその車に付いている自賠責保険からは出ませんが、場合によっては相手の車の自賠責保険から出るケースもあります。同乗者のケガはどうでしょうか?同乗者については、その車の自賠責保険から出る場合もあれば出ない場合もあります。また、相手の車の自賠責保険からも出る場合もありますし、相手からは出ない場合もあります。ですが、もし相手の車の保険に任意保険が付いており、なおかつ過失割合が相手のほうが大きいというケースでは、治療費の心配はさほど心配しなくても大丈夫かと思います。なぜなら、相手の車の任意保険会社があなたの車両の修理費やケガの治療費を(過失割合に応じて)払ってくれるからです。
では、自分の車の損傷についてはどうでしょうか?無保険の車の修理費は残念ながら自分の自賠責保険からも相手の自賠責保険からも出ません。出る可能性があるとしたら、相手の任意保険です。もちろんそれは過失割合(責任の割合)によります。
さて、ここで問題になるのが、「相手の車の保険が無保険だった場合」です。前述のとおり、対物は保険会社が払ってくれることはない。ケガのほうも相手保険会社の窓口はいません。保険に加入していないのですから。・・・となると、事故のためにケガをしたらどうすればいいの?
となってしまいます。これには一定のルールがあります。
①まずは、過失割合を誰が決めるのか?という問題。
②保険に入っていないほうの運転者側は「保険会社担当者」がいないわけですから、過失割合を話し合えるのか?そもそも誰が話し合うのか? 話し合ったとして埒が明かないということにはならないか?
この問題、じつはかなり複雑なんです。さまざまなケースが考えられます。それで、こういう複雑なケースではぜひ早い段階で無料相談を受けてみることをおすすめしたいと思います。状況をよくお聞きした上で、最も良い方法を模索していけると思っています。
そんなときに困っているお客様に寄り添うことができるのが、当事務所「行政書士さっぽろ総合調査」です。どうぞお気軽にご相談ください。