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【保存版】遺品整理で捨てないほうがいいもの|まず確保する9点

遺品整理を始めると、「これは捨てていい?」「後で必要にならない?」と迷う場面が必ず出てきます。
特に相続や各種手続きに関わる書類・資産・デジタル情報は、うっかり処分すると取り返しがつかず、家族間トラブルの原因にもなります。

この記事では「遺品整理 捨てないほうがいいもの」で検索した方に向けて、まず確保すべき9点を保存版として整理し、捨てていい不用品の判断基準、処分のタイミング、業者依頼で失敗しないコツまでをわかりやすく解説します。

遺品整理で「捨てないほうがいいもの」を最初に確保する理由|後悔・トラブル防止の基本

遺品整理は「片付け」ではなく、相続・契約・権利・思い出が混ざった“確認作業”です。
最初に「捨てないほうがいいもの」を確保しておくと、重要書類の紛失や、相続財産の見落とし、解約漏れによる請求トラブルを防げます。
また、親族の合意が取れていない状態で処分を進めると、「勝手に捨てた」「形見を取っておきたかった」と感情面の対立に発展しやすいのも現実です。

だからこそ、作業の初動はスピードよりも“確保と保留”を優先し、判断が必要なものを安全に残す流れを作ることが、後悔しない遺品整理の基本になります。

遺品を捨てる前に:相続・手続き・権利に関わるものが混ざる可能性

遺品の中には、見た目がただの紙束でも相続や手続きに直結するものが紛れています。
たとえば、通帳や保険証券、ローン契約書、権利書、支払通知書などは、相続財産の確定や請求、名義変更に必要です。
さらに、賃貸契約・携帯電話・サブスクなどの契約書類が見つからないと、解約先が分からず請求が続くこともあります。
「いらない書類に見える」ものほど危険なので、捨てる前に“手続き・権利・お金に関係する可能性があるか”で一次仕分けし、確保箱に集めるのが安全です。

「遺品整理 捨てられない」心理と、保留ボックスで安心して整理する方法

遺品整理が進まない大きな理由は、判断の負荷と罪悪感です。
「捨てたら後悔しそう」「故人に申し訳ない」と感じるのは自然で、無理に決断しようとすると作業が止まります。
そこで有効なのが“保留ボックス(保留エリア)”を作る方法です。

残す・捨てるを即決せず、「判断が必要」「家族に確認」「価値が分からない」を一時退避させるだけで、作業は前に進みます。
保留には期限を付け、たとえば「四十九日後に再判断」「相続人が揃う日に確認」など、次の判断タイミングを決めておくと、気持ちの整理もしやすくなります。

親族・家族との関係悪化を防止する事前連絡とチェック項目

遺品整理で多いトラブルは、金銭よりも「勝手に処分した」という不信感です。

特に写真・手紙・形見、貴金属、コレクション品は、価値の感じ方が人によって違います。
作業前に、相続人や近しい親族へ「いつ・どこを・誰が・どの範囲で整理するか」を共有し、立ち会いの可否も確認しましょう。
チェック項目としては、

  1. 形見分けの希望
  2. 探している物(指輪・アルバム等)
  3. 買取の方針
  4. 重要書類の保管場所の共有

が最低限です。事前連絡を入れるだけで、後からのクレームや疑念を大幅に減らせます。

まず確保する9点:遺品整理で捨てないほうがいいものリスト(保存版)

遺品整理で迷ったら、まずは「9点だけは最優先で確保する」と決めると失敗しにくくなります。
理由は、これらが相続財産の確定、各種請求、名義変更、解約、そして家族の心の整理に直結するからです。
現場では、重要物が封筒・本・引き出しの奥・衣類のポケットなどに分散して見つかることも多く、最初に“探索と確保”の時間を取るほど安全です。

以下の9点は、捨てる判断をする前に必ず一時保管し、必要に応じて専門家や家族と確認してから次の行動(保管・手続き・買取・処分)へ進めましょう。

まず確保する9点 捨てると困る理由(例)
現金・通帳・有価証券 相続財産の確定、支払い・引き落とし確認ができない
印鑑・身分証 解約・請求・返却などの手続きが進まない
遺言書・エンディングノート 意思確認ができず相続トラブルになりやすい
保険・年金・通知書 請求漏れで受け取れるお金を失う
不動産関連書類 名義変更・売却・相続放棄判断に影響
契約書類(光熱・通信・サブスク) 解約先不明で請求が続く
デジタル遺品(端末・ID) 資産・写真・連絡先・課金の管理ができない
貴金属・骨董・美術品 価値を知らずに処分すると損失が大きい
写真・手紙・思い出品 後から取り戻せず、家族の後悔が残る

現金・通帳・有価証券など資産に直結する財産(価値の把握が最優先)

現金、通帳、キャッシュカード、有価証券(株式・投資信託の資料など)は、遺品整理で最優先に確保すべき代表格です。
現金は衣類のポケット、封筒、仏壇、書籍の間、引き出しの奥など意外な場所から出ることがあります。

通帳は「残高が少ないから不要」と判断しがちですが、引き落とし(家賃・保険・サブスク)や入金(年金・配当)の確認に必要です。
有価証券や証券会社の郵送物は、相続財産の把握に直結します。

見つけたら、まとめて耐火性のある保管場所に移し、相続人間で共有しながら一覧化すると後の手続きがスムーズです。

印鑑・身分証明書(保険証・運転免許証など)|返却や手続きに必要

印鑑(実印・銀行印・認印)や印鑑登録証、身分証明書は、解約・名義変更・各種請求で求められることが多く、捨てると手続きが止まります。
健康保険証は資格喪失後に返却が必要になるケースがあり、運転免許証も返納手続きで必要になることがあります。
また、マイナンバーカードやパスポートなどは、紛失すると悪用リスクもあるため、早めに確保して保管し、必要に応じて自治体や発行元の案内に従って返却・失効手続きを進めましょう。

印鑑は複数本あることが多いので、見つけた場所もメモしておくと、後で「どれが銀行印か」を特定しやすくなります。

遺言書・遺書・エンディングノート|意思確認と相続トラブル回避

遺言書は、相続の分け方を左右する最重要書類です。自筆証書遺言の場合、勝手に開封すると手続き上の問題が生じることがあるため、見つけたら状態を保ったまま保管し、家庭裁判所など適切な手順を確認してください。

公正証書遺言は原本が公証役場に保管されますが、遺言の存在を示す手がかり(控え、連絡先メモ)が遺品に残っていることがあります。
遺書やエンディングノートは法的効力がない場合でも、葬儀の希望、連絡先、口座や契約の一覧など実務に役立つ情報が多いです。
「ただのノート」と思って捨てず、必ず確保して家族で内容を確認しましょう。

保険証券・年金手帳・支払通知書|請求漏れと後悔を防ぐ資料

生命保険・医療保険・共済などの保険証券、年金手帳(年金証書)、各種支払通知書は、請求できるお金を取りこぼさないために重要です。
保険は「加入していたか分からない」状態が一番危険で、証券や保険会社からの郵送物が手がかりになります。
年金関係の書類は、未支給年金の請求などに関わることがあり、手続き期限がある場合もあります。
また、医療費や介護費の領収書、税金の納付書・還付通知なども、確定申告(準確定申告)や精算で必要になることがあります。
書類は「保険」「年金」「税金」「医療・介護」に分けてクリアファイル管理すると、後から探す時間を減らせます。

不動産関連(権利書・ローン契約・固定資産資料)|相続放棄の判断にも影響

不動産の権利書(登記識別情報)、売買契約書、ローン契約書、固定資産税の納税通知書、管理費の明細などは、相続の方針を決める材料になります。不動産は資産にも負債にもなり得るため、資料がないと「価値があるのか」「ローン残債があるのか」「共有名義か」などが分からず判断が遅れます。

特に相続放棄を検討する場合、財産と負債の全体像を把握する必要があり、不動産関連書類の有無が調査の難易度を左右します。
見つけたら、住所・地番・名義・金融機関名などをメモし、必要に応じて司法書士など専門家へ相談できる状態にしておくと安心です。

契約・連絡に必要な書類(電話・光熱・サブスク等)|解約対応の原因を潰す

携帯電話、インターネット、電気・ガス・水道、NHK、新聞、クレジットカード、各種サブスクなど、故人名義の契約は想像以上に多いです。
契約書や請求書、会員番号が分かる郵送物を捨ててしまうと、解約窓口にたどり着けず、請求が続く原因になります。
特にクレジットカード明細は、どんなサービスに支払いが発生しているかを特定する手がかりです。

書類が見つからない場合でも、郵便物、メール、スマホのアプリ、通帳の引き落とし履歴から追えますが、手間が増えます。
「契約関係の紙は全部確保」をルールにして、後でまとめて解約リストを作るのが効率的です。

デジタル遺品(スマートフォン/PC/ID・パスワード)|データ管理とリスク

スマートフォンやPCは、今や通帳やアルバムと同じくらい重要な遺品です。ネット銀行・証券口座・暗号資産、サブスク課金、写真や動画、連絡先、仕事のデータなどが集約されており、端末を処分すると復旧が難しくなります。

また、ロック解除ができないと、解約やデータ確認が進まず、費用や時間が余計にかかることもあります。
まずは端末本体、充電器、SIM情報、メモ帳に書かれたID・パスワード類をまとめて確保し、勝手に初期化しないことが大切です。
セキュリティ面では、紛失・盗難を防ぐため、保管場所を決めて管理者(代表者)を一人に絞ると混乱が減ります。

貴金属・骨董品・美術品|売却/買取の前にプロ・専門家へ依頼

指輪やネックレスなどの貴金属、ブランド品、時計、骨董品、美術品、コレクション品は、価値が分からないまま捨てると損失が大きい遺品です。

見た目が古い、汚れている、箱がないといった理由で「価値がない」と決めつけるのは危険で、素材や作家、希少性で評価が変わります。
一方で、遺品整理の現場では買取トラブルも起こり得るため、複数社で査定を取る、査定根拠を確認する、家族に共有してから売却する、という手順が安全です。

処分前に「買取候補箱」を作り、まとめて専門店や鑑定に回すだけでも、判断ミスを減らせます。

写真・手紙・思い出の品|データ化・レンタル保管で整理しやすく

写真、アルバム、手紙、日記、賞状、子どもの作品などは、金銭価値よりも“取り戻せない価値”が大きい遺品です。捨てた直後は片付いた気がしても、後から「やっぱり残しておけばよかった」と後悔しやすいジャンルでもあります。

保管スペースが問題なら、写真はスキャンしてデータ化し、共有フォルダで家族に配布する方法が現実的です。
どうしても手放す場合も、一定期間のレンタル保管を挟むと心理的な負担が軽くなります。
「残す量を減らす」ことと「思い出を消す」ことは別なので、形を変えて残す発想で整理すると進めやすいです。

捨てていい不用品との判断基準|遺品処分で迷わない整理のコツ

遺品整理で迷いが減らない原因は、「捨てるか残すか」の二択で考えてしまうことです。
実際には、売却できるもの、寄付できるもの、リサイクルに回せるものなど、選択肢は複数あります。
判断基準を先に決めておくと、作業中のストレスが減り、家族間の合意も取りやすくなります。
また、相続や契約に関わる可能性があるものは“即処分しない”というルールを徹底し、迷う物は保留へ回すのが安全です。
ここでは、捨てていい不用品を見極めるための分類方法と、注意すべき例外、回収手段の使い分けを整理します。

「残す・売却・寄付・処分」の4分類:整理作業を発展させる方法

遺品整理は、最初に4分類の箱(またはスペース)を作るだけで進み方が変わります。
「残す」は手続き・形見・保管が必要なもの、「売却」は貴金属やブランド品など換金性があるもの、「寄付」は衣類や未使用品など再利用できるもの、「処分」は明らかなゴミや破損品です。

この分類にすると、捨てる罪悪感が減り、「価値を活かす」「誰かに役立てる」という納得感が生まれます。
また、売却予定品は一度に査定へ出せるため、作業効率も上がります。
迷う物は無理に分類せず「保留」を追加しても構いません。

分類 具体例 判断の目安
残す 重要書類、写真、形見、鍵 手続き・思い出・再取得不可
売却 貴金属、時計、骨董、ブランド 相場確認できる、需要がある
寄付 未使用タオル、衣類、日用品 状態が良い、受け入れ先がある
処分 破損品、期限切れ食品、汚れが強い物 衛生面・安全面で再利用不可

故人の仕事・趣味の資料は要注意:必要性と可能性(後から価値が出るケース)

仕事の資料や趣味の道具は、家族にとって価値が分かりにくく、捨ててしまいやすい遺品です。
しかし、資格証明、研究資料、原稿、設計図、作品、収集品の目録などは、後から必要になったり、価値が判明したりすることがあります。
たとえば、著作物や作品は権利関係が絡む場合があり、安易な処分がトラブルにつながることもあります。
また、カメラ・レンズ・釣具・オーディオ・工具などは中古市場で需要があり、まとめて捨てると損をしがちです。
判断に迷う場合は、写真を撮って親族に共有し、一定期間保留してから売却・寄付・処分を決めると安全です。

自治体回収・業者依頼の使い分け:片付けの負担とリスクを下げる

遺品処分は、自治体回収と業者依頼をうまく使い分けると、費用と負担のバランスが取れます。
自治体回収は安価ですが、分別・搬出・日程調整が必要で、量が多いと時間がかかります。
一方、業者依頼は費用がかかる反面、搬出や分別の負担が減り、短期間で片付くのがメリットです。
注意点として、家電リサイクル対象品(冷蔵庫・洗濯機など)や危険物は処分ルールが異なるため、自治体の案内を確認しましょう。
「重要物の探索が終わってから回収を呼ぶ」順番にすると、誤廃棄のリスクを下げられます。

方法 メリット 注意点
自治体回収 費用が安い、ルールが明確 分別・搬出が大変、日程が合わないことも
不用品回収/遺品整理業者 短時間で片付く、搬出も任せられる 料金差が大きい、見積もり確認が必須
買取店/専門店 現金化できる、処分量が減る 相場確認、複数査定が安全

遺品整理士やプロに相談すべき判断ポイント(無料見積もりの注意)

遺品整理をプロに相談すべきなのは、量が多く人手が足りない場合だけではありません。
たとえば、貴重品が見つからない、遠方で立ち会いが難しい、家の売却が絡む、親族間で意見が割れている、など“トラブル要因”があるときほど第三者の力が有効です。

遺品整理士が在籍している業者は、探索や仕分けの手順が整っていることが多い一方、資格の有無だけで品質が決まるわけではありません。
無料見積もりでも、追加料金条件、貴重品の返却ルール、買取の査定方法、作業範囲(清掃の有無)を必ず書面で確認しましょう。
「安いから即決」ではなく、説明の透明性で選ぶのが失敗しないコツです。

遺品処分はいつから?49日前・葬儀後のタイミングと進め方を解説

遺品処分の開始時期に正解はありませんが、相続手続きや家族の気持ち、宗教・地域の慣習によって“適切なタイミング”は変わります。
大切なのは、急いで捨てて後悔することを避けつつ、放置して負担が増えるのも防ぐことです。
実務的には、葬儀後すぐに「貴重品と重要書類の確保」だけ先に行い、処分は相続人の合意が取れてから進める流れが安全です。
また、相続放棄を検討している場合は、遺品の扱いがリスクになることもあるため注意が必要です。
ここでは、時期の考え方と、始める前の段取りを整理します。

遺品 処分 いつから:相続手続き・相続人確定との関係で見る時期

遺品処分を始める前に意識したいのが、相続人が誰かを確定し、方針を共有することです。
相続財産の調査や遺言書の有無確認が終わらないうちに大きく処分すると、「財産を隠したのでは」と疑念を招くことがあります。
一方で、郵便物の確認や契約の停止など、生活費の流出を止める作業は早いほど有利です。
おすすめは、①葬儀後〜早期に“確保と探索”、②相続人間で共有し“保留と一覧化”、③方針決定後に“売却・寄付・処分”へ進む三段階です。
この順番なら、手続きと片付けを両立しやすくなります。

49日前に処分していい?宗教・地域・家族の考え方の違いと折り合い

「四十九日までは遺品を動かさないほうがいい」と聞くことがありますが、これは宗教観や地域の慣習、家族の気持ちによって考え方が分かれます。
実際には、四十九日前でも、貴重品の確保や腐敗する物の処分、賃貸退去期限が迫っている場合の整理など、必要に応じて進めるケースは多いです。
大切なのは、家族の中で“どこまでなら進めるか”の合意を取ることです。
たとえば「四十九日前は書類と貴重品の探索だけ」「形見分けは四十九日後に集まって行う」など、線引きを決めると揉めにくくなります。
慣習を尊重しつつ、現実的な事情とも折り合いをつけるのが、後悔しない進め方です。

相続放棄を検討中の場合の注意:遺品を処分した場合の恐れ(単純承認リスク)

相続放棄を検討している場合、遺品の処分は特に慎重に行う必要があります。
相続放棄は原則として期限があり、また行動によっては「相続する意思がある」とみなされるリスク(単純承認につながる恐れ)が指摘される場面があります。
そのため、価値のある遺品を売却したり、財産を処分したりする前に、状況を整理して専門家へ確認するのが安全です。
一方で、明らかなゴミの処分や、住居の維持に必要な最低限の管理など、現実的に避けられない対応もあります。
判断が難しいときは、処分の前に写真で記録し、何をどの理由で扱ったかを残しつつ、司法書士や弁護士などへ相談して進めると安心です。

作業開始前の事前準備:親族間の意思統一とトラブル防止の段取り

遺品整理をスムーズにする最大の準備は、道具よりも“合意形成”です。
作業日程、立ち会いの有無、形見分けの方法、買取の扱い、処分費用の負担、重要物の保管担当などを先に決めておくと、当日の揉め事が激減します。
また、作業前に「探すものリスト」を作るのも効果的です。
通帳・印鑑・保険証券・鍵・写真・指輪など、家族が気にしている物を共有しておけば、探索の優先順位が明確になります。
段取りとしては、①連絡と合意、②探索と確保、③仕分け、④買取・寄付・処分、⑤清掃と書類整理、の順で進めると無理がありません。

業者に依頼する前に知るべきこと|遺品整理・遺品処分の失敗を防ぐ

遺品整理業者に依頼すると、時間と体力の負担を大きく減らせます。
ただし、業者によって対応範囲や料金体系、買取の有無などが異なり、比較せずに決めると「追加料金が発生した」「貴重品探索が不十分だった」といった不満につながります。
失敗を防ぐには、見積もり前に“何をしてほしいか”を言語化し、見積もり時に確認すべき項目を押さえることが重要です。
また、相続や不動産が絡む場合は、遺品整理だけで完結しないため、専門家連携が必要になることもあります。
ここでは、依頼前に知っておくべきポイントを整理します。

遺品整理業者の対応範囲:仕分け・探索・回収・買取の違い

遺品整理業者といっても、提供するサービスは一律ではありません。
仕分け(残す・処分の分類)を丁寧に行う業者もあれば、回収中心でスピード重視の業者もあります。
また、貴重品探索をどこまでやるか、買取に対応するか、清掃や消臭まで含むかなど、範囲はさまざまです。

依頼者側は「全部やってくれるはず」と思い込みやすいので、希望する作業を具体的に伝え、契約書や見積書に明記してもらうことが大切です。
特に「探してほしい物」がある場合は、事前にリスト化して共有すると、探索の質が上がります。

項目 業者による差が出やすい点 確認のコツ
探索 引き出し・衣類・書類の確認範囲 探してほしい物を事前に提示
買取 査定方法、相場説明、現金化の流れ 複数査定の可否、査定根拠
清掃 簡易清掃か特殊清掃か 作業範囲を写真で確認

見積もりで確認するチェック:追加料金・貴重品返却・デジタル遺品の扱い

見積もりで最重要なのは、総額だけでなく「追加料金が発生する条件」を明確にすることです。
階段作業、搬出距離、分別の追加、当日増えた荷物、家電リサイクル料など、後から上乗せされやすい項目は事前確認が必須です。
また、貴重品が見つかった場合の返却ルール(誰に渡すか、立ち会いが必要か)も決めておくと安心です。
デジタル遺品については、端末の探索・保管はできても、ロック解除やデータ移行は対応外の業者もあります。
「スマホやPCは触らず保管してほしい」「見つけたらすぐ連絡してほしい」など、扱い方針を先に伝えましょう。

専門家(司法書士/税理士等)と連携が必要なケース:相続・不動産・権利

遺品整理は物の片付けですが、相続・不動産・税金・権利が絡むと、専門家の領域になります。
不動産の名義変更や売却、相続登記、遺産分割協議書の作成が必要なら司法書士の関与が有効です。
準確定申告や相続税の可能性がある場合は税理士に相談したほうが安全です。
また、事業をしていた故人の資料や著作物、賃貸物件の契約などは、法的な確認が必要になることがあります。
遺品整理業者に依頼する場合でも、専門家と連携できる体制があるか、紹介が可能かを確認しておくと、手続きが詰まらずに進みます。

依頼の流れ:準備→作業→完了後の保管・書類整理までの安心設計

業者依頼を成功させるには、当日の作業だけでなく“完了後”まで見据えた設計が必要です。
準備段階では、残したい物・探してほしい物・立ち会い者・買取希望の有無を整理し、写真で現状を残しておくと認識違いを防げます。
作業当日は、貴重品が出たときの連絡方法、保留品の扱い、形見分けの箱分けなど、判断が必要な場面のルールを決めておくとスムーズです。
完了後は、重要書類を一箇所に集約し、相続・解約・返却のタスクに落とし込むところまでが実務です。
「片付いたのに手続きが進まない」を防ぐため、書類の受け渡し方法や保管方法も含めて依頼内容を組み立てましょう。

チェックリスト付き:遺品整理で捨てないほうがいいもの最終確認とまとめ

遺品整理は、最初の確保ができていれば大きな失敗は避けられます。
最後にもう一度、「捨てないほうがいいもの」が手元に揃っているかを確認し、保留品の再判断の段取りまで整えると安心です。
特に、書類・資産・デジタル・思い出の4領域は抜け漏れが起きやすいので、チェックリストで機械的に確認するのが効果的です。
また、遺品整理は心の整理でもあるため、急いで結論を出さず、保留→判断→処分の流れを作ることが後悔を減らします。
困ったときの相談先も含めて、ここで全体を締めくくります。

「まず確保する9点」チェックリスト(書類・資産・データ・思い出の抜け漏れ防止)

以下は、遺品整理で最優先に確保すべき9点の最終チェックリストです。
作業の途中で見つかった場合も、処分袋に入れず、必ず「重要物ボックス」に集約してください。
チェックは一人でやるより、家族で分担してダブルチェックすると安心です。
特にデジタル遺品は、端末だけ確保しても充電器やメモが捨てられていると詰みやすいので、周辺物もセットで確認しましょう。
この9点が揃っていれば、相続・解約・請求の実務が進めやすくなり、後からの後悔も大きく減らせます。

チェック項目 確認できたら 保管のコツ
現金・通帳・有価証券 一覧メモを作り耐火保管
印鑑・印鑑登録証 種類不明でも全て確保
身分証(保険証・免許証等) 返却/失効手続きまで保管
遺言書・遺書・エンディングノート 開封や扱いは手順確認
保険証券・年金・通知書 保険/年金/税金で分類
不動産関連書類 住所・名義・金融機関をメモ
契約書類(光熱・通信・サブスク) 明細・請求書もまとめて保管
デジタル遺品(端末・ID/パス) 初期化しない、管理者を決める
貴金属・骨董・写真・手紙 買取候補/思い出品で分ける

保留→判断→処分の手順:後悔しない整理のコラム(心の整理も含めて)

遺品整理で後悔が生まれるのは、「急いで捨てた」「誰にも相談しなかった」ケースがほとんどです。
そこでおすすめなのが、保留→判断→処分の三段階を意識することです。
まず保留は、迷いを先送りにするのではなく“安全に止める”行為で、作業を前進させるための技術です。
次に判断は、家族の合意、相場確認、手続きの必要性確認など、根拠を揃えて行います。
最後に処分は、自治体回収・業者・寄付など、納得できる出口を選びます。
気持ちが追いつかないときは、期限を決めて保留し、写真に残してから手放すなど、心の負担を減らす工夫を取り入れてください。

困ったらここに相談:家族・親族・遺品整理士・自治体・専門家の使い分け

遺品整理は、悩みの種類によって相談先を変えると解決が早くなります。
形見分けや思い出品の扱いは家族・親族で合意を取り、処分ルールや回収方法は自治体の案内が確実です。
量が多い、遠方、期限がある、探索が必要といった“作業の問題”は遺品整理士や業者が力になります。
相続・不動産・税金・相続放棄など“法務・税務の問題”は、司法書士・税理士・弁護士など専門家へ相談するのが安全です。
迷ったら、まずは「捨てないほうがいいもの9点」を確保し、次に相談先を選ぶ順番にすると、状況が整理されて判断しやすくなります。

  • この記事を書いた人

工藤 正幸(行政書士)

行政書士さっぽろ総合調査代表 行政書士・2級FP技能士
ポリシーは、「誠実・正直・一生懸命」。

北海道行政書士会・行政書士会札幌支部で10年間 会報を制作していた経験と知見を活かし、現在、「みんなの記事監修」にて専門家として登録中。

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