任意後見って何?
任意後見は、将来的に判断能力が不十分になることを予見して、あらかじめ信頼できる人に後見人を指定する制度です。この制度を利用できるのは、以下の条件を満たす人です。
- 成年者であること(20歳以上の人)
- 判断能力がある時に、任意後見契約を結ぶこと
具体的には、認知症や精神的な障害、重い身体的な障害などで将来的に判断能力が低下する可能性がある人が、自分の意思で事前に後見人を決めておくことができます。とはいえ、いつどんなことで判断能力が低下するかわかりませんよね。ですので、遺言を書きたいと思ったタイミングで任意後見契約を結ぶという方も多いです。
任意後見契約は、公証人の立会いのもとで行われ、その後、家庭裁判所に登記することによって正式に効力を持ちます。
この制度の目的は、将来的に判断能力が不十分になった場合にも、本人の意思に基づいて適切な保護を受けることができるようにすることです。また、任意後見契約により、本人が信頼する人を後見人として指名できるため、家族間の争いを防ぐ効果も期待できます。
法定後見って何?
法定後見制度は、判断能力が不十分なために自己の事務を処理することが困難な人を保護するための制度です。この制度を利用できるのは、以下のような人です。
- 成年被後見人: 成年に達しているが、精神上の障害などにより判断能力が不十分であるため、日常生活や法律行為において自己の事務を適切に処理することが困難な人。
- 未成年後見人: 未成年者であって、父母がいない、または父母が後見することができないなどの理由で、未成年者の保護が必要な場合。
法定後見制度は3種類ある!
- 成年後見: 判断能力が不十分な成年者を対象とし、最も広範な保護を提供します。
- 保佐: 判断能力が部分的に不十分な成年者に対して、限定的な保護を提供します。
- 補助: 判断能力が軽度に不十分な成年者に対して、さらに限定的な保護を提供します。
どの種類の後見制度を利用するかは、本人の判断能力の程度によって異なります。法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申立てを行い、裁判所が後見人、保佐人、または補助人を選任します。この制度の目的は、本人の権利と利益を保護し、社会生活を支援することにあります。
・・・ということは、任意後見と法定後見ってどう違うんだろう?
いい質問ですね!では次にその点について説明していきますね。
任意後見と法定後見の違いはどこにあるのか?
法定後見と任意後見は、ともに成年者が自己の事務を処理する能力が不十分な場合に、その人の権利や利益を守るために設けられた制度ですが、運用方法や設立のプロセスに違いがあります。
法定後見
設立のプロセス:法定後見は、本人または関係者が家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が後見人等を選任します。本人の意思能力が一定の基準以下であることが必要です。
対象者:主に成年者で、精神上の障害などにより事務処理能力が著しく不足している人が対象です。
運用:後見人(または保佐人、補助人)が法律行為を代理するか、本人の行為を支援します。裁判所の監督のもとで運用され、定期的に報告する義務があります。
任意後見
設立のプロセス:任意後見は、本人があらかじめ後見人を指定する契約を作成し、公証人による認証を受けることで成立します。本人が意思能力を有している間に準備します。
対象者:将来的に事務処理能力が不足する可能性がある成年者が対象です。具体的には、認知症の初期段階にある人など、まだ自己の意思で契約を結ぶことができる人が含まれます。
運用:契約に基づき、後見人が本人の事務を処理します。任意後見の場合、裁判所の監督は基本的にありませんが、任意後見契約の内容に従って行動する必要があります。
まとめ
法定後見は裁判所の介入と監督のもとで行われる制度であり、任意後見は本人の意思に基づく契約によって事前に準備される制度です。どちらも成年者の権利と利益を守るための重要な役割を果たしますが、設立のプロセスや運用方法において大きな違いがあります。
どちらがいいかは、あらかじめ今からじっくり考えておいたほうがよさそうですね。