近年、相続をめぐるトラブルが社会問題として注目される中、「自分の死後、家族に迷惑をかけたくない」と考える方が増えています。札幌でも、核家族化の進行や高齢化の影響により、遺言書の必要性を感じる方が多くなってきました。
実際、相続問題は遺産の額に関係なく発生しており、むしろ資産が少ない場合ほどトラブルになることも。たとえば、不動産を相続する予定だった兄弟姉妹間で意見が割れ、家族関係に亀裂が入ったというケースも珍しくありません。
そこで今回は、札幌の行政書士として多くのご相談を受けてきた立場から、遺言書の基本と、作成時の注意点についてわかりやすく解説します。
札幌で遺言書を作成する重要性とは?
札幌の高齢化と相続トラブルの現状
札幌市は政令指定都市の中でも高齢化が進んでおり、65歳以上の高齢者が全人口の約30%近くを占める地域です。今後、団塊の世代が後期高齢者となる中で、相続件数の増加は避けられません。
加えて、札幌では郊外に一戸建てを所有している高齢者が多く、不動産相続が絡むことで分割が難しくなり、家族間の揉め事に発展しやすいという特徴があります。
行政書士から見た遺言書の必要性
行政書士として数多くの相続相談に対応してきた中で、はっきりと言えるのは「遺言書があるかないかで、相続後の状況がまるで違う」ということです。
遺言書がきちんと作成されていれば、相続人同士の話し合いもスムーズに進み、感情的な対立を避けることができます。逆に、遺言がない場合は、民法の規定に従って機械的に分割され、故人の意志が反映されないことも少なくありません。
正しい遺言書の書き方【行政書士が解説】
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
- 自筆証書遺言:全文を自筆で書き、日付・署名・押印が必要。費用はかからないが、形式不備で無効になるリスクがある。
- 公正証書遺言:公証役場で公証人と証人の立ち合いのもと作成。費用はかかるが、確実に法的効力が認められ、偽造や紛失の心配がない。
法的に有効な遺言書を作成するための注意点
自筆証書遺言でありがちなミスとして、次のようなものがあります。
- パソコンで作成し印刷したもの(自筆でないため無効)
- 日付が「○年○月吉日」となっている(特定できないため無効)
- 相続人の名前があいまい(例:「長男」だけだと複数該当する可能性)
これらの不備があると、せっかくの遺言書が無効になるおそれがあるため、作成前に行政書士など専門家に相談するのがおすすめです。
書き方の実例とチェックポイント
例文:
「長男 佐藤太郎(昭和50年1月1日生)に、札幌市中央区○○の土地および建物を相続させる」
「預貯金は、妻 花子と二男 次郎にそれぞれ2分の1ずつ相続させる」
ポイントは、財産を特定できるように具体的に書くこと。住所、金融機関名、口座番号なども明記しましょう。
札幌で遺言書作成を進めるときの注意点
よくある誤解とそのリスク(行政書士の経験談)
札幌での相談事例として、「口頭で家族に伝えていた」「メモ書き程度のものを保管していた」というケースがよくありますが、これでは法的な効力はほとんどありません。
ある70代の男性は、「俺が死んだら長男に全部任せろ」と家族に言っていましたが、遺言書がなかったため、兄弟全員の遺産分割協議が必要になり、結果的に家庭裁判所にまで発展しました。これは、きちんとした遺言書があれば避けられた問題です。
書き直し・保管・執行に関する地域特有のポイント
2020年からは、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度がスタートし、札幌でも多くの方が利用しています。これにより、紛失や改ざんの心配が減りました。
また、札幌では雪害や寒冷地特有のリスクがあるため、冬場の外出が難しい方は、早めに遺言書作成を進めておくと安心です。
札幌市民が遺言書を作成するメリットと安心感
相続争いを未然に防ぐ
遺言書があることで、相続人間の認識のズレを防ぐことができます。札幌では、兄弟姉妹が市内・道内だけでなく、東京や関東圏などに移住しているケースも多く、意思の伝達が難しいこともあります。
そういった事情を踏まえても、遺言書であらかじめ分配方針を明示しておくことは大きなメリットになります。
家族への想いを明確に伝える手段
遺言書には、単なる財産分与だけでなく、家族へのメッセージや感謝の言葉を残す「付言事項」を記載することができます。
「長い間、共に暮らしてくれてありがとう」「私の意思を尊重して仲良く暮らしてほしい」といった一言が、遺された家族の心を支えることになるのです。
まとめと結論(札幌の住民向け)
札幌という地域に暮らすからこそ、遺言書の重要性はより一層高まっています。特に不動産の相続や家族間の関係性に課題を感じている方は、一度立ち止まって遺言について考えてみることをおすすめします。
遺言書の作成は、亡くなった後の安心だけでなく、今を安心して生きるための「未来への備え」でもあります。元気なうちにこそ、家族のために準備を始めましょう。
行政書士に相談する理由とお問い合わせ情報(札幌エリア対応)
札幌市および周辺エリアにお住まいの方は、ぜひ地域密着型の行政書士にご相談ください。法律の専門家である行政書士は、遺言書作成に関する法的チェック、文案の作成、公証人との連携など、トータルでサポートが可能です。
初回相談は無料で対応している事務所も多いため、まずはお気軽にご相談ください。あなたの想いを「かたち」にするお手伝いをいたします。